小中学校の給食費無償化を求める請願について
子育て世帯への経済的な負担軽減のため、市単独の予算で小中学校の給食費無償化を求める請願が令和5年12月議会に出されました。
議会で問題になったのは、市内の小中学校全校を無償化するために、毎年必要になる約5億円の財源の確保が、宗像市では難しいのではということです。賛成した紹介議員から「財源の問題があるので段階的に無償化する、まず中学校だけ、中学3年生だけでもよい」との趣旨説明がありました。しかし、市民への署名用紙には、この事は書かれていません。令和6年4月からの実施についても、12月議会での提出では無理だと紹介議員から助言され、請願文にはありませんでした。そのため、質疑で議員が困惑する場面も多く、十分な審査ができなかったと思います。
将来の予算を考えると
今回の請願は、将来的に小中学校全校無償化の要望なので、約5億円の財源が必要です。5億円を給食費に充てるとなると、他の公共サービスをやめるか、あるいは教育施策や学校施設の整備に充てる予算が不足する可能性があります。これから、宗像市では、老朽化が進む小中学校やユリックスなどの公共施設の改修や建て替えに多額の出費が見込まれます。高齢化による社会保障費も増えるため、財源に余裕があるとは言えません。
宗像市の予算を何に優先的に使うべきか、議員は10年後、30年後を見据えて、市民とともに考え、発言や提案をする責任があります。
県内の無償化の状況は?
福岡県では、令和5年度だけ給食費の無償化を決めた自治体が、中間市、福智町、赤村、吉富町などあります。しかし、財源は、国の物価高騰対策の臨時交付金でり、自治体独自の財源ではありません。
宗像市は、福岡市や北九州市と同様に臨時交付金を給食材料費の高騰分の補充に充て、保護者の負担軽減策として給食費を値上げしませんでした。
ネットの判断は?
いろいろな観点から賛否の意見が出され、審議の結果、賛成少数で請願は不採択でした。わたしたちは、子育て世代に対する支援を充実させることには賛同しますが、上記の理由で、今回の請願には反対しました。
困窮世帯への支援は?
コロナ禍の前から、子どものいる家庭の貧困が問題になっていましたが、この数年困窮している家庭が増えています。そして、低所得世帯ほど、給食費の負担を重く感じています。生活保護や就学援助の制度がありますが、その対象となる家庭でも、手続きの煩雑さもあり、利用していないケースがあると聞きます。給食費未納の家庭があれば、払えない理由の聞き取りを行い、困窮家庭の場合は、制度の丁寧な周知など寄り添った支援を市に要望しました。
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